第13章 ヒーロー殺し
しばらくして空はもうすっかり黒に覆われていて、宝石を散りばめたような星空が広がっていた。
は淵に座り宙で足をパタパタさせ、あちこちから聞こえるパトカーのサイレンを聞きながら退屈そうに、立ち上がる炎と黒煙を見ていた。
死柄木はいつの間に持ってきていたのか、双眼鏡で脳無の動きを観察している。
『暇だなぁ。私も脳無ちゃんと遊んでこようかな...』
は1日の疲れこそあったが、ここでただジッと眺めている事がもう既に耐えられなかった。
「ちゃんとアレは持ってんのか?」
アレ、と言われてはVカットに大きく開いた胸元から狐の形をした仮面を取り出し顔に付けた。
『弔くんに常に待ってろって言われたからね』
その瞬間、は遠くのビルの隙間から氷壁が見え、目を凝らした。
の頭の中では2つの記憶が呼び覚まされていた。
USJ襲撃の時に脳無ちゃんが氷漬けにされた時と、テレビで雄英体育祭で見た、かっちゃんと赤と白で半分に分かれた髪の男の子の試合。
『まさかね...』
「あ、ちょっ.........おい!」
死柄木の言葉を背後に聞いてはビルの間を飛び渡っていった。