第13章 ヒーロー殺し
ワープゲートを潜り抜けると、どこかのビルの高架水槽の上にたどり着いた。
が学校から帰ってきた時よりも、辺りは暗くなっていて赤の面積が殆どなく黒に近い深紫が空を占領していた。
先に来ていたヒーロー殺しはビルの淵にしゃがみ、街を見下ろしている。
「保須市って思いの外栄えてるな。で、あんたはなにをする?」
ヒョイと高架水槽から降りて、ヒーロー殺しの背後にいく死柄木。
死柄木がそう言ったところで、はここが保須市なんだと気づいた。
「この街を正す。そのためにはまだヒーローの犠牲がいる。」
たちはもう何も言い返さなかった。
死柄木が言うように、壊したいなら壊せばいい。
ヒーローを殺して街を正す。
彼らとは少し高い位置からは3人の背中をゆっくり見ながら、つくづくヒーロー殺しは弔くんとは合わない人だと思った。
いつのまにかヒーロー殺しはビルから街へ飛び降りて去った。
『弔くん私たちはどうするの。』
は今日1日で疲れの溜まった重い腰を持ち上げ、死柄木と黒霧を見下ろす。
死柄木と黒霧は目線を上にやった。
フッと軽く笑い死柄木は、息を呑んだ。
黒霧もまた、金色の怪光を光らせた。
少し見上げた先にいる高架水槽の上に立つが、夕方でもなく、かといってまだ夜でもない深紫の空を背負って立っているように見えたからだ。
風に靡くの小豆色の髪の毛は、ビルや住宅街の窓明かりたちに照らされキラキラと輝いていた。
その姿が2人には酷く幻想的で、ゾッとするほど美しく見えた。
自分をまじまじとみる2人の男には首を傾げる。
「綺麗ですよ、。」
珍しく先に口を開いたのは黒霧だった。
『え......』
普段、あくまでも死柄木に続いて、共感する時しかそういう言葉を言わない黒霧の口からまさかそんな言葉が出るとは思わなくて固まる
「おいおい、黒霧、俺が言おうと思ってた事を.......。あと、見えるぞ。ていうかお前、制服のまんまじゃねーか」
『なっ.......!』
見えるぞ、何がとは言わなかったがお互いの立ち位置を考えるともしかしたらと思い、高架水槽から死柄木たちのもとへ急いで飛び降りる