第13章 ヒーロー殺し
『ご....ごめんっ...!今日、雄英で実技テストみたいなのあって汗すごいかいたから.....!!お風呂入ってくるねっ....!』
弔くんから臭いと言われたことに、恥ずかしくなってきて逃げるようにして部屋を出ようとしたが、私の腕はいとも簡単に弔くんによって捕まってしまった。
「違う。汗じゃない」
『ひゃっ.......!!』
そう言いながら弔くんは、胸元、首、耳へすんすんと鼻を擦り寄せ行ったり来たりしていた。
『やぁっ....く....すぐったいよっ...弔くん....』
「男か...?」
首元で動きを止め私に訊いてきた。
『......っ!!』
男...そう言われて今日あったイレイザーヘッドとの出来事が一瞬頭をよぎり、どんどんと顔が熱くなるのがわかる。
「おいおい、図星かよちゃん、男の匂いが移るくらい密接な距離で2人で何やってたんだろうなァ?」
『ち...ちがうって...弔くん......!本当に実技テストで......イレイザーヘッドだったんだけど.........それで、私が馬乗りになったくらい......しかも他の生徒は1週間職場体験だから今日はほとんどイレイザーヘッドと2人だったの!』
言い訳をするように早口になってしまった。
でも本当の事だし......
キスされた......それだけは言えなかった。
なぜが弔くんに知られたくないって思ったからだ。
「しかも、イレイザーかよ...」
『うん...。あ、オールマイトはクラス持ってないんだって。それと私イレイザーヘッドのクラスだったよ。USJ襲撃の時にいたクラス。』
なにか違う話しなきゃと思いうまく話を逸らした。
「じゃあ、こいつもいたか。」
そう言って弔くんが手に持ってヒラヒラ見せてきたのは雄英体育祭のデクくんの写真だった。
『あ、デクくん。この子の個性不思議なんだよね。見えないの。先生にさっき聞きたかったんだけど、弔くんが怒らせるからー!』
「へぇ」
話を逸らした事が気に食わなかったのか、心底どうでもいいというような反応だった。
「死柄木弔、、そろそろ保須へ。」
『私たち行く必要ある?』
「ばーか、ヒーロー殺しの終焉を見に行ってやるんだよ」
冷笑する弔くんのその言葉を合図に私たちはワープゲートを潜り抜けた。