第12章 2回目のvsイレイザーヘッド※微
相澤side
帰りのバスはずっと沈黙だった。
まぁ、おっさんのあんなの見たら引くよな......
「おい、着いたぞ」
後ろに座ってるはずのに、声だけかける。
が動く気配がしない。不思議に思い振り返ると、コスチュームを着たままのが窓に頭を預けて眠っていた。
.....まだ着替えてなかったのかよ。
近くに寄り再び声を掛けようと、肩を揺すろうとするその手は宙を掴んだ。それを阻止しようとする自分がいる事に気付いたからだ。
こいつの寝顔をまだ見ていたいと思った。
長いまつ毛、水分をたっぷり含んだような綺麗な薄桃の唇、呼吸に合わせて上下に動くの大きな2つのふくらみ。
気づけば突っ立ったままに魅入ってた。
手を伸ばし小豆色の綺麗な髪を流れに沿って撫でてやる。
「お前は......ヒーローになれるよ...」
さっき言えなかったことを言った。
まぁ、寝てるから意味はねぇが。
『.........もっと.........撫で...て......』
起きてるのか?と焦ったが変わらずすやすや寝息を立てていた。
夢でも見てるのだろうか...。
そして一瞬こいつの口元が緩み、笑ったように見えた。
お気楽なやつだ。
男の前でそんな無防備な姿で寝んなよ......
「.........」
俺は気づけばの前髪を分けてやり、
透き通るような白い額に自分の唇を落としていた。
「フッ......何やってんだ...俺は」
つまらなそうに鼻を鳴らしながら言う自分の声を聞いた。
「おい......起きろ...」
俺は、今度こそ肩を揺すりを起こした。