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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第1章  報われない(五条/夏油夢)




 「きょ、今日も合コンあるの!放課後に!」





 「は?」 「あ"?」

 「だっ、だから、合コン…」


 空気が一瞬で凍りついた。
 全然大丈夫じゃなかった…!

 笑ってるけど額に青筋を立てる夏油と、サングラス越しでもわかる五条のガン開きの六眼に一瞬怯んでしまった。


 「……何も聞こえないね、悟」

 「ああ、何も聞こえねーわ。傑」

 「今日は有名大学生となの…!絶対に行かなくちゃ!!」


 私の!将来の彼氏が!
 いるかもしれないじゃない!!


 「はあ?!尚更行かせねーよ!!」

 「なんで?!」

 「この期に及んでまだ言うかい?」

 「あ、私のケータイ!」


 気づけば五条が私の携帯電話を(いつの間に?!)手にし、ポチッと電源を落とした。


 「ちょっと!電源落とさないでよ!連絡取れないじゃん!」

 「へん!やなこった!ほい、傑」

 「ん」


 私の携帯は今度は夏油の手に渡る。
いつの間にか夏油の肩には呪霊操術で出した呪霊が乗っている。……何故だろう、嫌な気しかしない。


 「はい、あーん」

 「え?!ちょ、ま、待って!!」


 私の命の次に大切な(出会いのお誘いが来る)携帯を呪霊が飲み込んでしまったではないか!


 「夏油!返してよーっ!!」

 「それはさくら次第かな」

 「私の運命の人が待ってるの!!」

 「「…」」


 五条と夏油の無言の笑顔が怖い。
 怖いけど怯む訳にはいかない…っ!


 「ね?だから…ちょ、まっ、いやー!!」


 私の携帯を飲みこんだ呪霊が黒い球体となり、夏油がその球体をゴクンと飲みこんでしまったではないか!!


 「ん、ご馳走様。さくら」

 なんの悪びれもなく夏油はペロッと舌を出す。

 「あ…あぁ…」


 言葉が出ないとは、こうゆう状況を言うんだろうなと、頭の片隅で考える。


 「千と千尋の◯隠しのカオ◯シかよ」

 「私の……っ!」

 「大丈夫だよ、さくら。帰る頃にはちゃんと返してあげるから」

 「私の…っ!王子様が!未来の旦那様が!居たかもしれないのに…!」


 なんてことしてくれるんだ!!


 「「…」」


 な、なにさ、無言の、その満面の笑みは…!!



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