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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第1章  報われない(五条/夏油夢)





 高望みなんてしない
 普通の人でいいの

 この胸の痛みを消してくれる、普通の恋がしたい





 「……もしかしたら、付き合ってそのまま結婚だってあるかもだし!」

 「は?」

 「あ"?!」


 そうだ、そうだよ!
初めての彼氏とそのまま結婚ゴールインなんて素敵すぎる…!!自分で自分を奮い立たせる。


 「…最強コンビの二人には分かんないだろうけど、私なんて華の高校生じゃなくなったら、なーんにもないの」

 「「…」」


 何で黙るのかな?何か言ってよね…?!


 ……現実、見なくちゃね
 無謀な恋なんて忘れなきゃ

 だから―――――叶わぬ恋心よ、サヨナラ。






 「いいんじゃねーの。さくらに何もなくたって」

 「……ねえ、私の話聞いてた?」


 結構真面目に話してたんだけど。
 聞いてもらえてなかった感じ??

 え、ちょっと流石に傷つく…



 「私達が居る」

 「はい?」

 「さくらの側にいるから」

 「……えっ…………と?」


 二人の言っている意味がわからなくて、いくつものハテナが私の頭上を飛び交う。


 「私達は最強なんだ」

 「うん?そうだね」

 「俺等が居るんだから、お前は何もなくていーだろ」

 「んんん?」

 「最強の私達が居るんだから、さくらも最強」

 「何それ」

 「最強に強いし最強に頭いいし、




 ―――――――最強に、カワイイ」



 「は……は?!」

 「だから最強なんだよ」


 えっなにっ、空耳かな?
 二人は意味不明な言葉を吐き捨てて立ち上がる。


 「あーもー!ウッセーな!!

 だーかーらぁー!
 そのままでいいっつってんだろーが!」


 五条の手がグワッと顔に向かって伸びてきた。


 「わっ?!」


 五条を目の前にして避けれる気も、ガードできる気もしなかった。目をぎゅっと瞑り衝撃を受ける覚悟をする。


 (ッ、叩かれる!!)


 ………しかし、衝撃は訪れず。
 五条は私の頭をポンポンと叩く。

 え、ちょっ………これは所謂…女の子が憧れる、頭ポンポン……?!



 「……誰が叩くかよ、ばーか」

 「だ、だって、」


 いつもは容赦なく叩いてくるじゃん!
…とは。今の五条を前にして、何故か言えなかった。




 
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