第1章 報われない(五条/夏油夢)
「だからさ、今度は二人で会……って、
二人とも、私の話聞いてる?!」
五条なんてポケットに両手を突っ込み長い脚を放り出して「はぁ〜〜」とか言ってるし、夏油なんて額に手を当て頭を垂れていた。
「ちょっと!話せって言っておいて何そのリアクション!!」
「うっせーリア充勘違い女爆発しろ」
「リア充になる前に爆ぜた方がいいね」
「勘違いおんっ…?!ひっどー!!」
二人は心底どうでもいいですと言わんばかりだ。
…どーせ、私のことなんて興味ないもんね。
いつもちょっかいは出されるけど、反応が面白いだけなんでしょ!歌姫先輩と同じポジションなんでしょ!!(歌姫先輩ごめん)
私なんて、ただの……いや、良くて同じクラスメート、な、だけだもんね。
私が異性に見られていたら、せめて硝子と同じ扱いをするだろう。それ以下の扱いをされてるってことは、そうゆうことだ。
あ、やだな。惨めになるやつだ。
「…私なんて、大して可愛くもないし?
頭が良いわけでも、強いわけでもないし?」
私の自虐を笑い飛ばしてほしくて明るく言ってみる。
「お前わかってんじゃん!笑」みたいな反応が返ってくるかと思いきや、五条と夏油はつまらなさそうに黙って私の話を聞いていた。
いつもは煩いのに!こうゆうときはさ、空気読んで笑ってよね…!?
…ムカツク。
きっと、ううん、絶対。
二人は私のこんな気持ち、わかりっこない。
二人の気怠そうな姿でさえ、哀愁漂うイケメンな絵になるからズルい。悔しいけど、認めたくないけど……とても、格好いい。
あぁ、やっぱり
好きだなあ
だからこそ、傷が浅いうちに離れなくちゃ
「ほら!カワイイは作れるって言うし?
今のうちにモテを研究して、彼氏ゲットしたいの!」
「…んなもん作んなくていいわ、バーカ」
「またそうゆうこと言う!」
「そんなに憧れるかい?恋人に」
「そりゃ憧れるよ!リア充って感じで!
彼氏できたらさ、手を繋いで歩きたいの。
でね、ゲーセンでぬいぐるみ取ってもらうのが夢」
「ふーん」
「へぇ」
これだからイケメンは!
はーやだやだ。二人は全部持ってるから、私の気持ちなんてわかんないんだ。