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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第3章  変わらないもの(七海夢)※




 「灰原の事ですか?」





 「え?!あ、う、うん…?!」

 ど、どうしよう…!?
まさか七海の方から灰原の話題を振ってくるなんて!思いもしなかったため変な返事をしてしまった。



 「気にしてませんよ。

 むしろ、私は貴女と灰原の話がしたかった」


 「え?!そ、そうなの…?」


 有難いことに、七海の方から話の核心を突いてくれた。
 でも七海が謝ってきた理由はなんだろう?だって避けていたのは私の方なのに……



 「どうして私なんかに謝ったの?」

 「心当たりはないのですか?」

 「えぇっと、私が避けてたから。
 私が謝るのはわかるんだけど……」

 「やっぱり避けてたんですね」

 「え"?!あ!そうゆう意味じゃ…!」


 流れですんなり話してしまった!
ああでもないこうでもないと、上手い言い訳を考えるも焦るばかりで何も思い浮かばない。もう認めるしかない。


 「…うん、ごめん」

 「分かってましたよ、最初から」

 「ただ避けたかった訳じゃないの」


 七海が嫌いで避けてたんじゃない。
そう伝えたいけど、伝えられない。本当の理由は言えないくせに、私はまた言い訳じみた事を言ってしまった。



 「避けられて当然です。

 ―――私は貴女を蔑ろにして、逃げましたから」



 「え…?」


 私を、蔑ろにして…?
逃げたっていうのは、呪術師からという意味な気がする。でも私は七海に蔑ろにされた事など無い。むしろこんな私を慕ってくれていたと思う。


 「ねぇ、」

 「着きましたね」

 「あっ、うん」


 問おうとするも、ちょうど目的地―――――七海の行きたかった場所、高専の慰霊碑に着いた。


 「今日も此処に来るなんて思わなかったよ」


 七海と此処へ来る途中に寄ったコンビニで購入した物をお供えする。


 「灰原って、おにぎり好きだったよね」

 「そうですね」

 「灰原と七海の新入生歓迎会、覚えてる?
灰原ってば、私が作ったおにぎり沢山食べてくれたなあ」


 「あの時って五条が」とか「こんな事あったよね」とか。私一人で思い出をペラペラ話す。
 タバコを咥え火を点ける。タバコを吸わずに慰霊碑の前に置く私を、七海は不思議そうに見ていた。


 「煙草、吸わないんですか?」

 「うん。実は吸ってない」





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