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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第2章  後輩Nの苦悩(七海夢)






 「五条さん、夏油さん!!」



 敵の呪詛師を拘束する。
さくらさんと、さくらさんを追いかけて飛び降りていった五条さんと夏油さん。3人の行方を確認するため、高層ビルの窓から自身の体を乗り出させる。


 「ッ?!」


 マンタの姿をした呪霊が、覗き込んだ高層ビルの窓に向かって高速で飛んできた。


 「さくらを補助監督のところへ連れてってくれるかい?すぐに硝子も来るから」


 マンタの呪霊の背中には夏油さんと、夏油さんに抱えられ気を失っているさくらさんが居た。


 「さくらさんッ!!」

 「大丈夫、気を失っているだけだ」


 きっと緊張の糸が切れたんだろうと、夏油さんは優しい手つきでさくらさんの頭を一撫した。
 自分に彼女を預け「灰原と合流して向かってくれ」と指示を出す。

 笑顔を絶やさない夏油さんからは仲間思いと、隠しきれていない滲み出る怒りを感じた。


 「5分で片付く」


 そう言う残して、夏油さんは再び窓から飛び降りて行った。さくらさんを抱え、夏油さんの使役する呪霊に飛び乗る。


 「七海!無事だったんだね」


 大爆発が起きたフロアの様子を見に来たのだろう。丁度タイミング良く灰原が現れた。


 「灰原!
 今すぐこの呪霊に乗って下さい!」


 説明は後程、と言う間もなく。
灰原はひらりと夏油さんが使役する呪霊に飛び乗った。


 自分達を乗せた呪霊が高層ビルから発つと、五条さんと夏油さんを追いかけるように敵が次々と襲いかかっていた。

 最強と自他共に謳われる二人は、空中戦とは思えぬ身のこなしで次々に敵をなぎ倒していく。

 夏油さんは得意の体術で敵を倒しながら呪霊操術を発動させていた。巨大な龍のような呪霊“虹龍”を駆使する様は圧巻だ。

 そんな虹龍の頭部に面白がって座っている五条さんは術式順転“蒼”を発動させ、一瞬で多数の敵を一箇所に集めた。


 流石、最強コンビの特級術師と一級術師。
 自分達とは桁が違う。

 ……本当に、桁が違うなんて。
 そんな次元だろうか。



 「…僕は、」

 「灰原?」


 いつも活発な灰原に元気がない。
深刻な怪我を負ったのだろうかと、心配して声をかけようとした。



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