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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第2章  後輩Nの苦悩(七海夢)



 *


 (私、死ぬんだ)




 多分、手足のどっか折れてる
 全く力が入らない

 黙って殺されるくらいなら、攻撃を回避するために飛び降りた。どうにかなるかと思ったが、どうにもできそうにない。


 (七海と灰原、きっと逃げ切れたよね…
 全然先輩らしい先輩じゃなくて、ごめんね)


 そんな事を思いながら真っ逆さまに落ちていくさくら。


 (嗚呼、身体が痛い。
 怪我、硝子に怒られるかな

 …って、関係ないじゃんね。もう)


 深く考える事を辞めた。
この状況を打破する力もなければ策も浮かばない。死ぬ事を考えたら、きっと後悔と恐怖でいっぱいになってしまう。


 「楽しかった、な」


 呪術師をしてればこうゆう死に方もあるって分かっていたけど、何処かで他人事だと思っていた。自分には関係ない事だと。

 今、この瞬間になるまでは。


 (もっと、皆と一緒に居たかったな)


 どうせ死ぬなら、勉強しないで遊んでればよかった。
 どうせ死ぬなら、おしゃれとか恋とか、好きな事をもっとやっとけばよかった。

 どうせ最後なら、人生に一回くらい告白しておけばよかった。

 好きな人の顔が、頭の中を過る。
 恐怖より後悔ばかりが波となって押し寄せる。

 さくらはスッと目を閉じた。
 後悔の波にさらわれないように、

 何も感じないように、

 涙が溢れないように、


 心に蓋をした。













 

 「なーに目ぇ瞑ってんだよ」

 「ほら、起きて」

 「っ!」


 空耳かと思った。
 空から会いたい人の声がした。

 さくらは吃驚して目だけを空に向ける。

 飛ぶように、高いところからジャンプするように。五条と夏油の姿が目に飛び込んできた。

 2人が近づいてくる。
近づくたびにだんだんと、五条と夏油の姿が重なって1つになった。

 2人が飛ぶ空は、とても。

 とても―――――…




 *

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