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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第1章  報われない(五条/夏油夢)





 (そもそも私が合コンに行った理由だって…!)



 …と、言いたくなったが、そんな事は本人達は知る由もない。しかしそんな風に言われるとちょっと、いや、かなりしんどい。



 「ご…五条には関係ないじゃん!」

 「関係なくはねーだろ」

 「そうそう、私達はさくらを心配してるんだよ?」

 「心配たって、そんな、子どもじゃあるまいし」

 「そーだそーだ!お前が変な男に引っ掛かってメンタルやられたら、誰が慰めると思ってんだ!」

 「硝子じゃないの?」

 「お、おう」

 「で?何で合コンに行ったんだい?」

 「だって、そんなの…」

 「俺より格好良くてスタイル良くて財力もあって頭も良くて強い奴なんて、合コンに行ったとこで絶対にいねーよ?」

 「そうゆうこと言わない彼氏が欲しいです」

 「でも何で急に?今までそんな彼氏が欲しい素振りなんてなかったじゃないか」

 「う"っ」



 彼氏が欲しい本当の理由なんて、言えるわけがなかった。
 ……本人を目の前にして、言えるわけがない。



 「……幸せに、なりたいんだもん」

 「「は?」」


 とりあえずそれっぽい理由を述べておこう。うん。


 「だってさっ!呪術高専なんて他の高校と比べたら生徒数圧倒的に少なすぎて出会いないじゃんっ」

 「幸せになりたいイコール彼氏って、安直すぎんだろ」

 「私から見るとさくらは毎日幸せそうだけど、違うのかい?」


 確かに、私は毎日幸せだ。
授業や勉強は大変だし呪霊は怖いけど、友達も先生も居て楽しく過ごしている。……好きな人だって、いる。


 「今日も任務後に特大パフェ頬張りながら「幸せ〜(はあと)」って言ってたよな」

 「そうそう。この顔周りの肉付きが幸せ太りの証拠じゃないのかい?」


 二人はニタニタしながら私の頬を引っ張ってくる。痛い!痛いって!


 「な"…何で太った時ばっか気づくの?!」

 「もちろん痩せたときも気づいているよ」

 「面白くもなんともねーから言わないだけだ」

 「クズ!ほんっとクズ!!デリカシーなさすぎ!!」



 ほんっと最悪コンビ!!
ほんっとムカツク!!ほんっと嫌い……に、なれたら、どんなに楽だろうか。



 
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