第1章 報われない(五条/夏油夢)
「お前合コンなんか行ったの??」
「ちょっと詳しく教えてもらおうか?」
185cmを越える男子達に詰め寄られるとか迫力が半端ない。いや、この二人だからこそ威圧感が半端ないのだろう。
面白がってる。
絶対に面白い玩具を見つけたと思ってる…!!
「あーっ!!私も夜蛾先生とこ行かなきゃ!」
そそくさと逃げようする私を五条が長い脚を引っ掛け躓かせ「ぎゃっ?!」、転びかけたところを夏油の逞しい脚が支え「ぐえっ」、そのまま捕獲され腹部辺りを締め上げられた。
「ちょ、痛い痛い痛い!!
か弱い乙女になんてことすんのっ!」
「「…?」」
二人は手に耳を当て「よく聞こえません」とでも言いたげなポーズを取る。
「ちょっと聞いてる?!」
「この至近距離でか弱い乙女がどーのこーのって聞こえてきたから、耳すまして聞いてんだよ」
「聞こえてんじゃん!!」
「私達より圧倒的に弱い女生徒はいるけど、か弱い女性なんて居たかな?」
「むきー!!このクズど…痛い痛い痛い!!」
夏油の脚で更にギリギリと締め上げられる。
私のこと弱いって言っておきながら容赦なさすぎじゃない…?!
「もっと可愛い悲鳴あげらんねーの?」
「ほら、何時どこで誰と合コンに行ったのか話してごらん?」
「話す!話します!!
話すから離してーっ!!」
観念するとパッと夏油の脚から解放される。
「痛ぁ」
「痛ぁ(涙)じゃねーんだわ、さっさと話せコラ」
「で?いつ合コンに行ったんだい?」
私が合コンに行ったという面白いものを見逃しかけたからだろう。五条は明らかに不機嫌な態度だ。夏油は穏やかな口調で解いてくるも目が笑っていない。本当、二人の圧が凄い。怖い、怖いから。
「……昨日」
「「昨日?!」」
「任務、昼過ぎに終わったじゃん?あの後に行ったの」
「だから私達とゲーセン行かなかったのか」
「うげー!疲れたとか散々ほざいてたくせに、男を漁りに行く元気はあったんだな」
そ、そんな言い方しなくたっていいじゃない…!