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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第2章  後輩Nの苦悩(七海夢)




 「ここのパン屋さん、安くて美味しいんだよー!」


 返答に困っていたら、女子の先輩は勝手に話しかけてきた。
 ……パン屋だけは教えてもらいたいかもしれない。


 「美味しいよね(はあと)って、お前。パン屋のパンに具を挟んだだけじゃねーか」

 「む。だからパン屋さんの話してんじゃん!」


 五条さんと女子の先輩は「後輩に色目使ってんじゃねーよ!」「はぁ?!何でそうなんの!」と啀み合いを始めた。

 どうやらこれらのお弁当は先輩達が作ってきたらしい。カナッペやピンチョスの副菜は家入さんが、唐揚げは夏油さんが。おにぎりとサンドイッチはその女子の先輩…厚葉さんが担当したようだ。


 「そーゆー五条は作ってきたの?デザート!」

 「あったりまえだろー!ほーらっ」

 「「「ん?」」」

 2年生達が五条さんが開ける重箱を覗き込む。

 「え?!凄すぎない??」

 「……悟、本当にコレ作ったの?」

 「いや、どー見ても五条家の力でしょ。コレは」


 中身を覗くと、そこには色取り取りの美しい和菓子達が芸術作品のように並べられていた。


 「あーバレた?笑」

 「ちょっと!私のことバカにしといて!
 五条は作ってないじゃん!」

 「俺がパン・ケーキ焼くと黒くなんの」


 キャラクターのこげ◯んより真っ黒!と笑う五条さん。何だろう、こ◯ぱんって。


 「パン・ケーキか」

 「お弁当のデザートにパン・ケーキかよ」

 「ちょっとツッコミどころ多すぎない?」


 2年生の様子に引いていると、同学年の灰原雄がコソッと話しかけてきた。


 「先輩達って、仲良しだね!」

 「いや、仲良しというか…」


 賑やかすぎる。
喉から出かかった言葉をサンドイッチと共に飲み込んだ。


 「ん〜流石五条家!おいしっ!」

 「だろー?!」

 「私のつまみが1番かな。酒飲みたい」

 「硝子、流石にそれはちょっと」

 「俺は傑の唐揚げ好きよ?男飯って感じで!」

 「う"ー。悔しいけど私が平凡料理だったな…」


 「まあーさくらにしちゃあ…」「いや、これもすごく…」と五条さんと夏油さんが言いかけるよりも早く、


 「厚葉さんのおにぎり、美味しいです!」


人懐こいキラキラした眩しい笑顔の灰原が、両手でおにぎりを頬張っていた。
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