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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第1章  報われない(五条/夏油夢)




 「……何も聞こえないね、悟」

 「ああ、何も聞こえねーわ。傑」

 「今日は有名大学生となの…!絶対に行かなくちゃ!!」

 「はあ?!尚更行かせねーよ!!」



 誰がみすみす行かせるかっつーの!


 さくらのケータイを没収する。
 流石に諦めたようで項垂れているさくら。
 そんなに合コン行きたいのかよ。



 俺にしとけよ



 ………なんて、言えたらいいのに。




 「悟も大変だね」

 さくらには聞こえない声量で傑がボソリと呟いた。

 「うるせー」

 それを合図に俺と傑はダッシュし、下向する階段をさくらに無断で飛び降りた。


 「ぎゃっ!!?ジャンプしないでよっ!!
 スカート捲れるっ!パンツ見えちゃう!!」

 「大丈夫だよ、私達は見えない」

 「そりゃ振り向かなきゃ見えないけども!!
 周りに見えちゃう!!手放してよっ!!」

 「冷え防止の黒の見えパン履いて完全防備ノクせに、見えるもんも見えねーよ」

 「ちょ、何でしってんの?!」

 「「ははははー」」

 「ほんっとクズなんだけどー!!!!」


 本当にどうしようもない。
こんな平平凡凡な女に振り回されて、楽しくて仕方ないなんて。

 チラリとさくらの顔を盗み見る。
さっきまで文句タラタラだったくせに、何だかんだ楽しそうだ。


 さくらが好きだ 大好きだ


 口が裂けても言えないけども。
 いつか言える日が来るだろうか。





 「あっ、このぬいぐるみ可愛い…」

 「頑張れば取れそー」


 ゲーセンにて、UFOキャッチャーをガラス越しにさくらと硝子が覗いていた。


 「どれどれ?」

 「五条、取ってあげれば?」


 硝子はニヤリとなにか言いたげな含み笑いを俺に向ける。


 “ゲーセンでぬいぐるみ取ってもらうのが夢”


 さくらが言っていたこと思い出す。


 「言われなくとも」


 やるに決まってんだろ、こんなん楽勝だ!









 「えへへ〜やったあ!」


 さくらは嬉しそうにゲーセンで取ったぬいぐるみを抱きしめる。


 

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