第2章 黒き水
呪術師と言う言葉に酷く反応する甚爾。
何故か呪術師は最悪、最低と一点張り。
どうするって聞いたくせにダメだって言うつもり?
『キャンプ行きたい』
「めんどくせぇ」
『じゃあ高専行く』
「はぁ?」
拗ねたような顔の甚爾から目を逸らして鞄を取りドアに手をかける。
このままじゃ学校に遅れる。
「まてまて!忘れてるぞ」
甚爾がソファーに置き忘れていた小さなペンダントを掴み投げた。
慌ててキャッチすると手の中でキラッと光る。
これも不評の産物だったりする。
『これ、かっこ悪い。新しいの買ってよ』
母が死んで泣き崩れていた私にくれた物。
もう古臭い。
元々綺麗なものじゃなかったが、新しい高校に転校するなら新調したい。
「ダメだ。それ付けてろ」
『…ケチ』
「さっさと行け」
新聞を開く甚爾。
私に全く興味がないようだ。
そりゃあそうだ。
私は呪われた子供なのだから。
家を出て学校に向かう。
何も変わらない毎日だ。