第2章 黒き水
学長より大まかな注意事項を教えられて、教室へ案内してくれる男に頭を下げた。
案内してくれる男の名前は夜蛾正道。
私の担任で体育会系の先生のようだ。
夜蛾先生の背中を追いながら窓の外に広る木々に視線を向ける。
授業中なのかとても静かだった。
「学長からも言われたと思うが、もし分からないことがあったらクラスメイトに聞くといい」
学長には不思議な力は無くなったと伝えたが、目を細めて笑われた。
父方の血がどうやら特別な様だ。
会ったこともなければ、
存在すら知らないんだけど…
期待されているような眼差しで送り出された。
クラスメイトに聞きながら訓練を積んで欲しいらしい。
なんの訓練?
「アイツらの為にもなる。遠慮は要らない」
『…はい』
どんな人達が居るんだろう。
友達できるかな…
既にグループができていて仲間外れにされたらどうしよう…
女子と男子どっちが多いのかな。
まだ見ぬクラスメイト達を想像してバクバクと心臓が鳴る。
空き教室が多い中、夜蛾先生が動きを止めて待つように指示された。
先生が教室へ入る。
表情が出ないようにぎゅっと口を結んでペンダントに触れると気の抜けた男の声が聞こえた。
夜蛾先生に文句を言って一喝されている。
なんだろうと興味がそそられて一歩前に出たら名前を呼ばれた。
さぁ、いよいよだ…