第1章 出会いと来るはずのない別れ
個性豊か過ぎるメンツによる挨拶。
これ、大丈夫だよな?引かれてないよな?
1部変なやつもいたから些か心配だったけど…
「…ふふっ、はい!これからよろしくお願いしますね!皆さん!」
ふにゃっとした、なんともいえない可愛い笑顔で俺たちを受け入れてくれた。
((((((か、かわいい…!!))))))
俺たちきっと同じこと思ってたと思う。
こういうときの6つ子の団結力やべぇから。
ノアちゃんは、『ぺこり』と擬音がつきそうな飛び跳ねるような礼をした。かわいらしいしぐさとは裏腹に、顔を上げた時にふわりとなびく髪がこれまた綺麗で思わず見とれてしまった。
「そういえば、先程から家の前にいらしてましたけど、私に何かご用ですか?」
「これを渡したくて来ちゃったんだ僕たち。この前のクッキーのお礼!よかったら食べて」
そう言いながらトド松がノアちゃんに今川焼きが入った包みを手渡した。
「ごめんね…今川焼きなんて、どこにでも売ってるっていうのに」
チョロ松が申し訳なさそうに口を挟む。普段はチェリーのくせにこういう時だけ常識人ぶる。
「なんだよチョロ松、美味けりゃいいのこういうのは!ノアちゃん、餡子とかいける?」
「えぇ!和菓子とか好きですよ〜!ありがとうございますわざわざ!」
「あっはは!他のお菓子高かったもんね!!」
「「言うなそういうこと!」」
余計なことを言った十四松がチョロ松とトド松の2人から強く突っ込まれていた。
「うふっ…はははは!」
その様子を見てノアちゃんは、すごく楽しそうに笑っていた。
はぁ…その笑った顔も可愛い。
その後は、他愛も無い自己紹介の掘り下げだったりを軽く話して解散した。少し話しただけなのに、明るくて笑顔をふりまいてくれるノアちゃんの魅力に、俺たち6つ子はメロメロになっていた。
ノアちゃんは、どうやら今現在一人暮らしらしい。
小さい頃に両親が離婚し、母親に引き取られるも親子関係がなかなか上手くいかず、独立できるようになってからは逃げるように一人暮らしを始めたという。
なーんかよくわかんないけど大変そうだよね。
けど、俺は彼女が『一人暮らし』という点において内心安心していた。安心と言うよりかは、期待っていうの?