第2章 破壊衝動【一松】
腰を何度も強く打ち付けながら、ノアちゃんを強く抱きしめる。ノアちゃんは背中に手を回してはくれなかったけど、完全に抵抗する気力を失っていたようだった。お互いの吐息がお互いの耳元で聞こえる距離に。ノアちゃんの甘い声がすぐそばで聞こえてきて、おれを興奮させるには十分だった。
「あぁ……やば、い……イクっっ!」
「や、やだ、だめぇ…なかはだめっ…あぁイクっっっ!!……〜〜っっっ!!!!」
ぐったりとしたまま言葉だけで拒否反応を示すノアちゃんを無視して、おれは彼女の中で果てた。ノアちゃんの中に白い欲望を全てぶちまけた。白い闇で全部満たした。
「はぁ…はぁ………」
「あぁ………あぁ……」
ふわふわとした脱力感の中2人は少しの間抱き合っていた。ノアちゃんも、疲弊のあまりおれに身を委ねるようなかたちになっていた。
不思議と罪悪感はなく、気分は高揚していた。
我ながら本当にクズで笑っちゃう。兄貴の彼女を寝とるとか…しかもこんな乱暴で身勝手な手段でね。
「どうして…」
沈黙を最初に破ったのはノアちゃんの方だった。
「どうしてこんなことしたの…?」
おれは身体を離して、脱ぎちらかした自分の服とパンツを手に取った。兄弟が帰ってくる前にいそいそと着替えた。その間に答える。
「ノアちゃんのこと……好きだったから。好きで好きでたまらなくて…そしたら何故か嫌いになってたんだよ」
「…」
ノアちゃんは何かを考えているような様子でおれのほうをじっと見ていた。
「ほら、早く服着なよ。兄弟帰ってくるから」
そう言うと彼女も服を着替え始めた。
ノアちゃんが何を考えているのかは俺にはよく分からなかった。
「言うて、あんたも感じまくってたじゃん…またヤらせてよね。2人きりになる機会があれば」
そう吐き捨てておれは部屋を出た。
その日、おれは大切な友達を1人失った。
だが気分は晴れやかだった。
彼女の心に一生消えないであろう傷をつけることができた愉悦感に浸っていた。
今後カラ松とセックスするたびに、おれを思い出してくれればいい。それだけでおれは十分幸せだから。
END