第1章 出会いと来るはずのない別れ
だけど、今更悔やんでもしょうがない。
そんなこんなで今は夜。
兄弟たちは皆家に帰ってきており、晩御飯のデザートとしてノアちゃんが持ってきた菓子折のクッキーをいただいていた。
「わぁ!このクッキー美味しいね!」
トド松が子供のように目を輝かせてイチゴ味クッキーを頬張る。
「うんまーい!!あんまーい!!」
「こら十四松、いっぺんに食べ過ぎ!みんなの分なくなっちゃうよ」
クッキーを何枚も重ねて一気食いする十四松をチョロ松が注意する。
「まあまあ、このクッキーかなりの量だしそう簡単に俺らの分は減らないよ…たーぶん」
叱るチョロ松を俺が軽くなだめる。
ノアちゃんが持ってきてくれた菓子折のクッキーは脅威の30袋入りのが2つ。『俺らが6つ子だってこと知っててこのチョイスにしたの?』なーんてありえないこと考えちゃう。
「ふっ…so sweets…俺たち一人一人に与えられた愛は10枚!これが何を意味するか、お前らにはわかるか?」
「知らねぇよ黙って食えクソ松」
相変わらずカラ松は何言ってっか分かんねぇな…それに対して清々しいほど毒っ気のあるツッコミを入れる一松。
うーん、当たり前だけどみんないつもどーり。
そんな中、俺はひとつ!ナイスアイデアを思いついた!
「なぁなぁ、俺らもさノアちゃんに挨拶しにいかね?お礼も兼ねてさ!」
声を1段階張り上げて、皆に提案してみる。
「いーじゃーんそれ!さっすがおそ松兄さん!」
さすがトド松!俺の言うこと1番最初に理解してくれるのはなんだかんだこいつなんだよなぁ。
「でも僕達6つ子だよ?6人も一斉に押しかけて大丈夫かなぁ」
「大丈夫!なんか、母さん俺らが6つ子だってこと、ノアちゃんに言ってるらしいし」
心配そうに意義を申し立てたチョロ松だったが、これに関しては本当だ。6つ子ってステータスは何だかんだこういう時に役立ったりする。
「いい考えじゃないかおそ松。これで近所同士としてのイメージもアップ…カラ松ガールがまた1人増えてしまうな…」
「あは!ノアちゃんってどんな子かな!楽しみ楽しみ!」
「けっ………引っ越して早々こんなゴミ6人に絡まれるとか、彼女もかわいそ」
そんなわけで翌日、俺たちは適当な今川焼きを用意してノアちゃんの家の前に出向くのであった。