第10章 始動
遮蔽物のなくなった周囲を取り巻く蠅頭たち。
呪力のないアイツは完璧にその気配を消している。
考えろ…俺がアイツならどこから来る?何を狙う?
(狙いは天内か…!)
そう脳内で答えを弾き出した瞬間、すでに男は俺を射程圏内に捉えていて。
その手に持った異質な気配のする呪具に一瞬で嫌な汗が噴き出る。
(意図的に気取らされた…!)
反射的に術式を攻撃から守りに転じたが、男の持つ呪具は無下限を突き破って俺の体にいくつもの風穴を開けた。
ほぼゼロに近い視界の中苦し紛れに男に向けて呪力を放つも、足払いされて地面に倒される。
次の瞬間。
頭に衝撃が走ったと思ったら、全てが真っ白になった。
「悪いな…五条悟。
繭のことは…オレに任せろ」
そう聞こえたのは、死にかけのオレの幻聴だって誰か言ってくれよ。