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【呪術廻戦】比翼の鳥 連理の枝 〜第一部〜

第10章 始動



side 五条悟

高専2年になった傑と俺に依頼された、星蔣体・天内理子の護衛任務。

この世界を守る結界である天元様が永続するためにその身を捧げるのは、まだ年端もいかない少女だった。
天内本人のあの性格もあり、正直カワイソーなんて気持ちは微塵も湧いてこなかった。
この世界を守るためという大義名分の下では人ひとりの価値なんて大したものではないってのは、昔からよくわかってたことだから。
でも、二日後の満月の日まで天内をちゃんと護衛して、たとえそれが多くの犠牲を払う結果となっても本人の願いを叶えてやりたいって思ってしまったのは、天内に繭の影を重ねてしまったからだろう。
天内のセーラー服姿は、最後に見た16歳になったばかりの繭の姿をいやでも思い出させる。


傑や硝子、新しくできた後輩たちとの学園生活や、次から次へと舞い込んでくる任務、その合間にストレス発散のため適度に女の子とも遊んで、お前のことなんて思い出す暇もないくらい、充実した日々を送ってたと思ってた。
でも、何かのきっかけでお前を思い出すと一気に時間が過去に引き戻されて、ああやっぱり俺はまだお前を諦められてないんだと思い知らされる。
悔しいけど、それは何年経っても変わらないみたいだ。

周りからはどう見えたかわからないけど、俺はいつになくこの任務に思いを懸けてたよ。
守れなかったお前の代わりに、天内だけは守ってやりたいって思ったから。
それで少しは過去の自分を許せるんじゃないかって思ったから。



それが、不味かった。
お前を重ねて見てた天内の希望をなるべく叶えてやりたいって、メイド救出に天内を連れて行ったのも、最後に海で思い出作りをしたいという天内のために高専へ戻る時間を遅らせて無下限呪術を限界まで酷使しまくったのも、全ては俺の甘さから来ていたことだった。

今さらそんなことわかったって、遅ぇのにな。





体を貫く衝撃。

胸から生えた刃から自分の血が滴るのをどこか他人事のような感覚で見る。

おかしい。
こんなことあって良いはずがない。
此処は高専の結界内で、侵入者が結界を破ればすぐに異変に気づいたはず。

そして俺の背後にいる男から感じる拭いきれない違和感…それとも既視感?
こいつから感じる呪力の痕跡…これは…。

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