第9章 蚊帳の外※
甚爾さんが照れるとこなんて初めて見た…。
「売るわけないです。…うれしい、とってもきれい……甚爾さんと恵の瞳の色…ありがとう甚爾さん…」
17歳の誕生日は今までで一番素敵な誕生日になった。
そういえば思い出した。
去年の誕生日は、悟からプレゼントもらったなぁ…結局中身も見れないまま家に置いてきてしまってる。
あの日からちょうど一年だったってことなんだ…。
首元のネックレスをなぞりながらそんなことを考えていると、逞しい腕がぎゅっと私の体を引き寄せる。
「オマエと出会ってからもう一年か」
「すごい…私も同じこと考えてました。甚爾さんと出会った日のこと…」
「オマエは覚えてないだろうけど、オレがいなきゃしょうもない男共に喰われちまってたぞ」
「…とーじさんはいつも私のこと助けてくれますね…大好き…」
ぎゅっと甚爾さんの厚い胸板にくっついて顔を寄せる。
「オマエがいつもオトコに狙われ過ぎなんだよ……あの時オレと出会わなかったら、オマエの人生今頃どうなってたと思う?」
「え…」
思いもよらない甚爾さんからの質問に一瞬とまどう。
もし甚爾さんと出会わなかったら…なんて考えたくもないけど…。
「…きっと居場所がバレて家に連れ戻されてたと思います…お母様には…すごく怒られただろうな…結婚して家を出るまでもう一生外に出してもらえないかも…」
「…術師の家系はどこもクソだな」
「…家に閉じ込められて、ただただ悟のお嫁さんになるための準備をして生きて行くだけの人生だったかもしれませんね…」
「花嫁修行のおかげでオレと恵がオマエの旨い飯毎日食えるのはありがてーけど、それが五条の坊のためだったと思うとムカつくな」
「ふふ…頑張った甲斐がありましたね」
「……好きだったのか?五条悟のこと」
想定外の質問に一瞬フリーズしてしまった。
甚爾さんがそんなこと聞くなんて…。