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【呪術廻戦】比翼の鳥 連理の枝 〜第一部〜

第7章 萌芽(ほうが)





「甚爾さん、大丈夫ですよ…大丈夫…怖い夢を見てるだけですからね…」


腕の中にある形の良い頭を撫でて、安心させるように何度も呟く。
すると、胸元に擦り寄って私の体を強く抱きしめる甚爾さんの呼吸と表情がだんだん穏やかなものになっていって、徐々に力も弱くなっていった。

しばらくすると、腕の中から規則的な寝息が聞こえてきた。
もう甚爾さんが悪い夢を見ませんように。
そう願いを込めて甚爾さんの綺麗な黒髪を撫でながら、頭のてっぺんにキスをした。




こんな感情、おかしいかな…。
私より歳も上で、体も大きくて男らしい甚爾さんに〝守ってあげたい〟って思うなんて。

一緒に過ごしていると、時々甚爾さんが傷ついた子どものように見える時があるの。
必死で愛情を求めたけど、それが叶わなくてもう期待することをやめてしまった子どもみたいな目。
そんな風に見えてしまうのは、自分を重ねてしまっているだけなのかな。

だから、自分がそうして欲しかったことを甚爾さんにしてあげたくなる。
自分は愛されてるって安心して思えるように、怖いものから守ってもらえるように。
少しでも甚爾さんが安心して眠れるように…せめて夢の中だけでは穏やかな気持ちでいれますように。









最近は3人分の朝食を用意するのにも慣れて来た。
リビングでおもちゃで遊んでいる恵の様子を見ながら、卵焼きとお味噌汁を作る。


「ごあん、ごあん!」

「ごはん、今作ってるからね。もうちょっと待ってね、恵。おなかすいたねー」

「いたーきまーしゅ」

「いただきますしようね、恵はおりこうさんだね」


初めて会った時はご飯を〝まんま〟と、言ってた恵も、今は〝ごはん〟と言うようになって(まだ〝ごあん〟だけど)日々成長してるなあと実感する。
一度教えた言葉をすぐに覚えてしまう恵は、たぶんすごく頭のいい子なんだと思う。
甚爾さんに似てるのかな。

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