【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第5章 五条悟②
急に声質が変わった悟に、ななの喉がひゅっと鳴った。
昔よく直哉に感じていた感覚に、それはとてもよく似ている。
「……………。」
押し黙ったななの腰に、改めて悟の手が回った。
もう何も言わないでただ悟について行く。
今も昔も何も変わっていない。
この感覚を与える人物にはこうして体が固まって言う通りにしてしまう。
これもまた、直哉の教育の賜物だった。
「しかし、一晩過ごすには暇だよなぁ。
ななって桃鉄とか出来る?」
部屋に入って適当に寛ぐ悟にななは首を振った。
「傑には直哉くんがベッタリ付いているだろうし…。」
悟は自身の携帯を出して、電源が切れている事を確認する。
コレに電源を入れた途端に、あっという間に居場所が割れそうだ。
「……座れば?」
今まで閉じ込められていたななの為に、圧迫感を感じない様に大きな部屋を取ったのだ。
彼女が落ち着いて座れる場所は何処にでもあった。