【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第5章 五条悟②
「大丈夫、何もしないよ。」
悟はななが考えている事が分かる様に、にっこりななに言った。
「ただ、俺と1夜を過ごせばいいだけだから。」
そう言った悟に目眩がしそうだった。
その一夜が。
直哉にとってどんな意味を与えるのか。
目の前の悟はちゃんと分かっているはずなのに。
「明日は楽しい事が起こりそうだ。」
間違い無い。
その楽しいことは悟にとって楽しいだけで、ななにとっては決して楽しく無いはずだ。
「ああ…直哉くん……。」
咄嗟に出た直哉の名前になな自身戸惑った。
直哉以外の男とこれ以上時間を過ごす事に対する嫌悪感も。
それが直哉に対して裏切りだと言うことも。
しっかりとななは理解している。
「…俺と一緒にいる時に、もう2度とその名前は出さない事だ。」
悟はいつもより低い声で、ななに言った。