【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第5章 五条悟②
お昼時間は過ぎていたので、適当に席は空いていた。
ななはテーブルに座って、会計をしている悟を見る。
やはり目立っていて、特に女の子達がチラチラと悟を見ている様だ。
ななは悟から目を逸らして、ガラス窓から新宿の街並みを見下ろした。
中学を卒業してから、こんな時間に街に出たのはいつぶりだろうか。
そのごった返している街並みが、凄く懐かしい様な。
そうでも無い様な。
不思議な時間だった。
「お待たせー。」
悟がそう言って持って来たトレーをななの前に置いた。
マックの独特の匂いが、ななのお腹をさらに空かせた。
バーガーを手に取って一口食べた。
ブアッと口の中に広がる懐かしい味に。
何故か涙が出た。
少し出たななの涙を見て、悟はその涙を指で掬った。
悟のその行為に反応しない様に、ななはそのまま食事を続けた。
その悟の手に、何かの感情を感じてしまったら、涙がもっと出そうな気がしたから。