【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第4章 五条悟
自分が思っているよりすんなにその言葉が出た。
帰りたい。
帰ってあの閉じ込められた世界が自分の居る場所だと頭が言っている。
ーそれが正解なのだと。
「返さないよ。」
そんな思想のななに、悟はたった一言言った。
「ななは返さない。
ななはきっと俺の側に居る方が楽しめるよ。」
直哉とは別の形で、この人も自分の気持ちを無視する。
だけど何故か。
悟のその言葉はななの心を軽くした。
あの場所だけがななの世界じゃ無いと。
まるでそう言われているようだった。
「ななの術式は面白い。
ななの世界はあの蔵じゃなくて、こんな何でも無い日常の中だよ。」
悟の言葉に周りを見渡した。
何でも無い。
ただ人がごった返して居る風景。
そんな中に悟と2人で居る。
何故だかそれが、とても尊くて自分とは遠い世界の様に感じた。
『なな。』