【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第1章 禪院直哉の婚約者※
✴︎
✴︎ー✴︎バチ
『直哉・なな4歳』
「ななコレやる。」
多分コレが直哉と話した1番古い記憶だ。
差し出された右手の拳に、ななは手を広げた。
ゲロ…。
小さい雨蛙だった。
何で?
ななは困惑の顔で雨蛙を見ていた。
「カエルって何でも食べて凄いねんで。」
ゲロッ
「直哉くん…。」
逃げようとするカエルをななは両手で塞いだ。
「私カエル苦手みたい。」
「大切に育てろよ?」
何で?
ゲロッ
その雨蛙は3年で死んだ。
「直哉くん、ケロ吉死んじゃった…。」
大切に育てたけど、あまり長生きしなくて悲しかった。
「コレやる。」
プルプル……。
震えているハムスターがななの手のひらに乗った。
何で?
「プルプル震えているのがななみたいで可愛い。」
ん。今度は確かに可愛い…。
「ケロ吉がおおきゅうなったら、ハムスターも食べれたんやけどな。」
キュッ
ななはハムスターを握って、同じ様に震えた。
それは牛蛙ではないだろうか。
結局ハムスターも3年ほどで死んだ。
「直哉くん…もう生き物いらない…。」
今だにこの一連の直哉の心情は分からない。
直哉はただ、その時可愛いと思ったモノをななにあげていただけだ。