【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第4章 五条悟
せっかく蔵の外に出られたのに、すぐにまた蔵に戻されてしまった。
蔵の中に入ると、直哉の代わりに連れて来た人が、ガシャンと大きな鍵をかける音がした。
何度聞いてもその音は慣れなかった。
ななはため息を吐くと部屋にある椅子に腰掛けた。
ここでは直哉が居なければ何もやる事は無かった。
こうして日中まで鍵をかけられる事は滅多にないが、悟との接触はよっぽど直哉の逆鱗に触れたのだろう。
悟の目に留まってしまった事への戒めが、この程度なのは良かったと思えた。
それ位、今の直哉は何をするか分からない。
不思議な事に、こうして閉じ込められる事は嫌だと思うのに。
それで直哉を嫌いになったり、憎んだりは無かった。
それは直哉がこの3年間でどれだけななの事を好きなのか分かったからだ。
直哉の気持ちに応えたい。
それがななが出した3年間の答えだったからだ。
自分の自由が引き換えが愛の代償だという事には目を瞑っていた。