【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第4章 五条悟
悟の目線は明らかに、ななに向かっている。
直哉の愛想笑いもすでになくなって、ななはぎゅっと目を閉じた。
「…ななか…、おもろい術式持ってるけど意味あらへんねん。」
ポンとななの肩に手を置いて直哉は言った。
「俺の嫁さんになるだけやさかい。」
ななの肩に手を置いたまま、直哉は悟に目を向き直した。
だからななにちょっかいを出すな。
直哉の目がそう言ってる。
悟は直哉の挑発を受けて、ハッと笑った。
「流石に可愛い子はすでに手が付いてるよね。」
悟は直哉とななを交互に見て言った。
「……まぁいいや、それなら直哉くんが案内してよ。」
そう言って悟が背を向けると、直哉はななの耳元で小さな声で言った。
「なな、もう部屋に戻っとき。」
低い直哉の声に、ななは頷かしかなかった。
耳のいい悟には、その2人のやり取りは聞こえていた。