【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
本当にななは母屋と蔵の行き来でしか、外に出なくなっていた。
それも直哉が居る時だけだ。
「直哉くん、今日は何かあるの?」
そんな日々が当たり前になった頃。
母屋が騒がしく、皆慌ただしくしている。
「…あー…、今日は御三家会議やねんて。」
直哉は他人事の様に言った。
自分には関係無いし、何より人手が足りなくてななが駆り出されるのが気に入らない。
直哉の思惑はともかく、ななは久しぶりに人が沢山いて少し胸が躍った。
だけどそれを直哉に悟られない様に平然としていた。
禪院家の家事は普段から手伝っていたので、それなりに勝手を回していた。
座布団を何枚運ぶのかと数えるのも億劫で、ななは自分の術式を使った。
疲れるが、自分の呪霊にも同じ様に働かせて何とか与えられた仕事をこなしていた。
「あんたの術式面白いねぇ。」
禪院家でもうななに話しかける男の人は居なかった。
明らかに自分に向けられて言われた言葉にななは振り返った。