【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
そんな日々を過ごしていた夏の夜。
その衝動は突発的なモノだった。
母屋も寝静まり、見上げた窓から見えた月がとても綺麗で。
ななは布団から起き上がり蔵のドアに手を掛けた。
別に閉じ込められている訳では無い。
簡単に開くドアから外に出てると。
無性に東京に帰りたくなった。
その後は直哉が怒るとか。
そんな事は考えられなくて、ただ帰りたい。
そんな気持ちで庭を走っていたと思う。
誰も居ない門を抜けて、ななは駅に向かった。
学校へ行く以外の道を歩くのはどのくらいぶりだろうか。
辺りは暗くて、自分以外の人影なんて無かった。
薄暗い道は、普段だったら不気味さを感じるかもしれない。
だけども今はそんな事を少しも感じなくて、ただ目の前の道を歩いていた。
そんなななを照らす様に、車のライトがパッと光った。
ななは急に現れた車に目を向けた。