【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
『住む』部屋が変わっただけで、こんなにも心が蝕まれるなんて知らなかった。
今までは窓もありすぐに外が見えて、いきなり連れて来られたけどここの様に窮屈さは感じなかった。
天井付近に申し訳なさそうにある窓が、唯一今が朝なのか夜なのか教えてくれる。
まだ学校がある日は良かった。
外に出れるから。
けど休日は一日中この蔵の中に過ごす事が多かった。
唯一の気晴らしが、直哉が来てくれる事で。
おかしな事にこんな状況を作った本人なのに、その事に楽しみさえ覚えた。
「……直哉くん、外に出たい。」
「……ええで…。」
直哉は別に蔵の中にななを閉じ込める事はしなかった。
彼が居る時は。
直哉が一緒なら外にも出られた。
そんな時は何故か外に出るのが悪い事の様に思えて、直哉の手をギュッと握る。
ななを他の人が見る事を許さない直哉が。
これ以上自分を閉じ込めない様に、外に出ても他の人に会うのが怖くなった。