【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
惨めだった。
そんな想像の中ですら、泣いて自分に縋る直哉にななは思い切り抱き締めていた。
「……俺…ななじゃないとダメやねん…。」
何度も想像していた光景が目の前にあるのに、何処かまだ夢心地で、これが現在なのか分からなかった。
「…ななの顔見れへんのに、なんべんも会いに行っては帰ってきて、小春ちゃん抱こうとしても出来へんし…。」
「…………。」
「今もまだ……服の上からやないとななに触れられへん…。」
その割にはさっきからずっと顔を首元に擦っているけど…。
さりげなく唇も押し付けられている感じもする。
ななはくるっと体を反転させると、直哉を正面から見た。
うっと、直哉は一瞬体を強張らせて、目を細めるとやっぱりまた抱きついてきた。
「……これが私だけど……。」
ななは直哉の肩越しに、蔵の天井を見た。
本当に忠実に再現されていて、立て直したと言うのにいつも見ていた光景に目を細めた。
「……今日、ななが俺を拒んだら、またここに入れとこう思うとった…。」