【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
「……直哉くん……痛いんだけど……。」
ずっと背後から押さえつけられて、いい加減腕が痺れてきた。
直哉はそう言われてもななの手を離そうとしなかった。
ななは小さなため息を吐くと、ゆっくり話し出した。
「私はこの一年半…、ずっと直哉くんが来るの待ってたよ…。」
そう言ったななの顔を見て、直哉の手の力は少し緩まった。
一度位は直哉が会いに来てくれると信じていた。
『俺が悪かった』って、必死に許しを乞う姿まで想像していた。
寝る前に毎日そんな想像をしながら、一日、一日過ぎて、結局直哉は一度も現れなかった。
朝目が覚めて、自分の涙で枕が濡れていても、拭ってくれる手はいつまで待っても無かった。
それが、今更なんだと言うのだろう。
直哉の手がななの腕から離れると、肩に触れて抱き締めた後に、直哉の顔が首筋に触れた。
震えている直哉の手に抱き締められて、ななは泣きそうになるのを目を顰めて我慢した。