【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
「……そんな訳あらへんやろ……。」
「そうなの?ななならすぐ来るよ?」
直哉が居ることに何の疑問も持たないで、悟は直哉にななの元へ案内しようとする。
その悟の余裕が、また直哉をイラつかせた。
余裕だと言いたいのだろうか。
自分は、ななの側に悟が居るというだけで、胸を締め付けられるというのに。
グッと自分の胸元を掴んで、悟の後ろ姿に話しかけた。
「……ほんまに、あのななを抱けるん?」
直哉が俯いて言った言葉に、悟は目を細めて直哉を見た。
ああ本当に。
コイツは馬鹿野郎だな。
直哉に思った事は以上だった。
苛立ちはあったが、特に直哉を諭す気にもならない。
別にななと直哉が上手くいかなくて、悟が困る事は無いからだ。
「…直哉くんさぁ…、ななの何が見たいの?多分、直哉くんが期待するななは見れないよ?」
そう言った悟に、直哉は不思議そうに顔を上げた。