【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
外に出る事も出来なくて、ななは1人いつもこの蔵で直哉を待っていたはずだ。
直哉はそっと天井に手を伸ばしてみた。
その時、ふと同じ様に手を上げたななの姿と重なった。
ななが居たような感じがして、直哉はすぐにその虚像に手を差し伸べると、手は空を切って床に落ちた。
『直哉くん。』
触れられないななの虚像に涙が出た。
あかん…頭がおかしくなりそうや。
何処に居てもななの事しか考えられなくて、思い出してはななの記憶に囚われる。
そや…会いに行こう。
もう一度会ってあの醜い顔を見たなら、今度こそ忘れる事が出来るはずだ。
そう思って、直哉は東京に向かった。
言ってすぐにななを見つけられるはずは無かった。
今、目の前には1番会いたく無かった男が立っている。
「あれ?直哉くんどーしたの?」
直哉を見つけて悟は目を細めた後にいつもの笑顔で直哉に寄ってきた。
「ななに会いに来たとか。」
ニヤッと嫌なら笑みを浮かべて、悟は直哉の顔を覗き込んだ。