【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
耐えられなかった。
もう自分が愛したななは居ないから。
(ああでも……ななはもっと泣いとるかもしれへん……。)
ななの泣き顔は耐えられなく胸が締め付けるはずなのに、いつも泣かせるのは自分だった。
だけど、今回は宥める手を差し伸べる事は出来ないのに、直哉はフラッと立ち上がった。
壊れた蔵の残骸を見ていた。
ここにしか、ななとの思い出と呼べるモノは無かったから。
ああそうだ……もう一度蔵を建てよう…。
記憶の中のななと一緒に過ごせる唯一の場所を作って、飽きたらまたそこに新しい女を置くのもいい。
後の事なんかどうでもいいから。
今はすぐにななが居なくなった渇きを埋めたかった。
そうして蔵が出来上がって、直哉はよく1人でそこに過ごしていた。
たまにその場で寝てみて、ななが過ごしたであろう夜を想像した。
そこはとても過ごしやすいとは言えずに、寝苦しい時には蔵の天井を見るしかなかった。