【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
その直哉の手の震えを見ながら、ななは再度直哉の顔を確認した。
「?!」
直哉の顔を見て、ななは驚愕した。
ポタ、ポタ、とななの顔に雫が落ちて来た。
直哉が泣いているからだ。
「………………。」
想定外の光景に、ななは唖然として直哉を見るしか出来なかった。
「ようそんな事言えるな。
散々悟くんに抱かれてる癖に……。」
直哉は自分が泣いている事に気が付いていないのだろうか。
涙を拭くこともせずに、顔を歪めてななを見て泣いている。
直哉の態度に心底腹が立つのに。
直哉の涙を見たら、自然と自分からも涙が溢れた。
「抱かれてる訳ないでしょう!!馬鹿野郎!!」
そう言って直哉を睨みながら言ったななの顔に、今度は直哉が驚愕した。
「嘘やろ!!いつも悟くんとおったやんけ!!」
「?」
直哉は何を言っているのだろうと、ななは思考が止まった。
理解出来ないこの状況に、しばらく2人の時間は止まった。