【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
顔を歪めながら笑うななに、直哉の手が少し緩んだ。
「はぁ……直哉くん……。」
ななが少し顔をずらして直哉を見た。
「愛してるよ。」
傷だらけの顔で、ななは笑いながら直哉にそう一言だけ言った。
その時の直哉の顔は忘れないだろう。
一瞬ひどく驚いて、そしてまたななを睨み付けた。
やっと言えたかった事が言えた。
ななは気持ちが楽になって、やっと身体に溜まっていた呪いを吐き出せた様だった。
この後に直哉に痛め付けられたとしても、もうきっと何も感じないだろう。
「そんな醜い顔でよう言えたな…。」
想像していた通りの言葉に、ななは軽くため息を吐いた。
次はもう一度頭を床に打ち付けられるかな…。
そんな事を考えながらななは目を伏せた。
しかし、少し待ってもその衝撃は来なかった。
頭を押さえつけている直哉の手が震えてるのが分かった。