【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
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今年の桜は早咲きで、その日は見渡す限り桜吹雪で視界を埋めていた。
「卒業おめでとう。」
そう言って声を掛けられて、ななは振り返って悟を確認すると笑顔で応えた。
結局、当時の一年生でこの高専に残るのは誰も居なかった。
場所は違えど、呪術師として働くのだから、もう2度と会えない訳じゃない。
「本当に禪院家行くの?本当に諦め悪いよねー。」
高専を後にするななに、悟は呆れた様に言った。
何だか悟にはそんな言葉しか言わせていない自分に苦笑する。
「悟くんのおかげで、直毘人様からも柄に入る事を許して貰ったから。」
そう。
いつも呆れてもこうしてななの為に動いてくれる。
いつもそんな悟に救われた。
「はぁ…僕は何度こうして見送ればいいのかね…。」
全然納得していない悟の顔に、ななは目を細そめて笑って誤魔化すしか出来ない。
それでも今日。
伝えたい言葉があった。
「ありがとう。悟くん。」
そう言って離れていくななの背中を見送った。