【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第18章 始まりと終わり※
「……直哉くん、居なかった?…。」
その度にななが探すのは、もうこの病室に現れない直哉だった。
「……今は何も考えないで寝てろ…。」
悟がそう言ってななの瞼に手を置けば、ななはまた眠りに付く。
その繰り返しを何回もして、麻酔が抜けて普通の痛み止めで痛みを和らげられる様になった頃。
直哉が居ない理由を理解した。
ああ、そうか………。
私、直哉くんに捨てられたんだ……。
ななは傷だらけの手を天井にかざして目を細めた。
そしてその答えに簡単に納得すると、ゆっくり目を閉じた。
体や、特に顔に大きな傷を負った時に、本人への告知は酷く気を遣われる。
特に女性なら、顔に大きな傷を残る場合、精神的に受け入れなくて発狂する人も珍しくない。
普通なら、そんな時こそ患者を支える人が周りに必要だった。
もちろん、そんな場に直哉は一度も居ない。