【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第18章 始まりと終わり※
「…はぁ…。」
悟は大きいため息を吐いて、直哉の手を払った。
「うちの窓が見誤った案件だったんだよ…そんなのもよくある事じゃねぇか。」
「…ふざけんなや!!アレ見たんか?!あんなん……もう戻らんやろ!!」
そう叫んだ瞬間に涙が漏れた。
ああ、そうや。
もうあのななは居ないんやな…。
可愛くて、その顔を見るだけで気持ちが昂る様な。
そんな俺のななはもうおらへんねん。
その事実に胸を締め付けられて、何処までも涙を流しても、もう何もかも戻らない過去の事だ。
「ぐっふっ…っ!!」
それだけ叫んでまた胃液を吐いて、体を倒した。
その直哉を見て、悟はゆっくりと言った。
「…ああ、そんな事か……。」
ポツリと言った悟の言葉に、直哉は顔を上げた。
「じゃあ、ななはやっと俺のになったんだな。」
無表情にそう言って直哉を見下ろす悟の顔に、直哉の顔が更に歪んだ。
「凄いな悟くん……あんた人の心あるんか?」