【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第18章 始まりと終わり※
明らかに、自分では対処出来ない呪霊を目の前に、ななの身体は強張った。
「おい!自分の面倒位は自分で見ろよ!!」
日下部もまた、余裕が無さそうな相手だ。
だけども、呪霊が手印を結んだ瞬間に出来るのは、ななを守る事じゃなくて、簡易領域を出す事だけだ。
勿論、なながそうするはずだと疑わずに。
日下部が気付いた時には遅かった。
「おい!!簡易領域出て無いぞ!!」
そう日下部が叫ぶ声は聞こえていたのに、ななの呪力が練れなかった。
自分より遥かに強い、絶対的な強者を前にして臆しただけでは無い。
身体中が痛かった。
心が折れそうでうわの空だった。
そんな事は全部言い訳で、ただななはその強者との壁の高さに、もう自分の限界を決めてしまっていた。
悟達とは肩を並べられないと悟り、直哉の保護下に戻ろうとしたその時から。
立ち向かうと言う気持ちなんて、とっくになかったのかも知れない。