【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第17章 夏の終わり※
「で?ななは禪院家戻るって?」
悟の声に体が冷たくなるのを感じた。
ヒヤッとした汗がゆっくりと頬を伝った。
「ねぇ、何で黙ってんの?」
何も言えないでいるななに、悟は更に詰め寄る。
「……私……悟くんのお陰で術式覚えたし…、もう禪院家でもやっていけるかなって……。」
いつまでも悟の顔を見ないで話すななにイラッとした。
「っ!」
思わず痛いと声が出そうな位、悟の手がななの顎を掴んだ。
そして無理矢理顔を向き合わされて、余計に余裕が無く表情が強張った。
「結局、直哉くんの側がいいって?」
無表情からいっぺん、笑ってそう言った悟は先ほどより負の感情をぶつけている様だ。
「キスしろよなな、お前から俺に。」
普段なら平気で断れる言葉に、ななの体がピクッと動いた。
今日の悟の言葉に、ななの拒否権はないと思えるほど、威圧的に感じた。