【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第17章 夏の終わり※
ななの体が一瞬ビクッと跳ねた。
答えずらい…。
そんな質問をどんな感情で聞かれているか分からないからだ。
「……何も感じなかった。」
ななが答えられずに下を向いていると、ボソッと悟の声が聞こえた。
その言葉に顔を上げると、相変わらず無表情の顔で悟はななを見ていた。
「…天内が死んでも、禪院家の男に勝っても、何も湧かなかった……。」
天内の死体を回収しに、教団に入って非術師の奴らを目にしても。
ああ、五月蝿いな………ついでに殺すか…。
そんな気持ちがぼんやりと浮かんだだけだった。
「なな俺はね、何かを手に入れる為には何かを捨てなきゃいけないって分かったんだ。」
これは……自分に向けられて言っているのだろうか。
何処か独り言の様に、悟の目はななを見ているようで見ていない。
「!?」
急に悟に腕を掴まれて、ななはびっくりして悟を見上げた。