【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第17章 夏の終わり※
直哉と別れた後に傑に会いに行った。
もう七海も灰原も居なくて、廊下にある長椅子にポツリと1人で座っていた傑を見つけた。
ななが近付くと、傑はすぐにななに気が付いた。
少し疲れた顔をしている傑の顔に、笑顔を向ける事が出来なかった。
「………知り合いだった?」
傑にそう聞かれて、ななは首を横に振った。
「……なら、まだ良かった…。」
そう言ってななから目線を外す傑の隣に座った。
「……私…禪院家に戻ろうと思います…。」
なながそう言っても、傑は驚きも寂しそうにもしなかった。
「君が決めたなら、そうすればいい。」
その時に傑が浮かんだのは、天内の死体を抱いて無表情な顔を自分に向けた悟だった。
何かが変わった。
あの後に、自分も悟も…そしてななも。
それが価値観なのか、持っていた信念なのかは分からない。
今は静かに何かが変わったソレを受け止める様に息をする。