【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第17章 夏の終わり※
薄暗い結界の中は、色んな札があっていて、少ない灯りが不気味にゆらゆらと影を落としていた。
現れたドアの前に立ち止まると、中に居る人影の気配に顔を上げる。
「……直哉くん。」
ドアを開けて中を見ると横たわっている男の人の横に、直哉が立っていた。
その顔は表情は無かったが、見下ろしていた目線から、彼が直哉の知り合いだと分かった。
どうりでこの部屋に入れた訳だ。
直哉がすでに来ていたからだろう。
ななが部屋に入っても、直哉はななを見なかったので自分から直哉の横に行った。
一緒に見下ろした男の人は、やはり見た事のない人だった。
「…知っている人なの?」
直哉の袖をギュッと掴んで聞いた。
「…会いに行った事あんねん…。」
ボソッと言った直哉の目が少し細められた。
「ななは会ったことあらへんな、甚壱くんの弟やで。」
と言う事は、直哉とは従兄弟になる。