【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第16章 直哉と悟※
悟にそう言われて、好きだと言われた事を思い出して、また顔が赤くなった。
そのななの表情を見逃さないで、悟はななの顔を覗き込んだ。
「聞こえなかった?もう一度言う?」
揶揄う様に笑ってそう言う悟に、ななは余計に顔を赤くする。
悟の側から離れようとするななの体を、悟がぎゅっと抱きしめた。
「好きだよなな、俺のモノになって下さい。」
後ろから抱きしめられて、耳元で悟の声が聞こえた。
ぎゅっと掴まれた悟の手に、自分の心臓が高鳴るのが分かった。
悟の手を掴もうとした瞬間。
ななの脳裏に直哉の笑顔が浮かんだ。
『コレやる。』
そう言って手を差し出してきた幼い頃の直哉との思い出に。
馬鹿みたいに胸が締め付けられた。
いつも、自分を好きだと言って切なく思うのは。
直哉たった1人だ。
なら、今自分の高鳴っている胸は何なのか。
ただのときめきなのか恋なのか。
自分でも分からなかった。