【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第16章 直哉と悟※
目を伏せたななを見て、その脳裏に浮かんだ男が自分では無いことがすぐ分かった。
なながそれ以上その男を考えない様に、悟はぎゅっと抱きしめた。
どうかずっとこのままここに居ればいいのに。
「悟くん…。」
ななが何か言おうとして、聞きたくなかったからななの口を塞いだ。
何度キスをしても自分のモノにならない苛立ちは、こうして抱きしめていれば少しは紛れた。
居なくなるなら。
どうせ離れていくなら。
今だけはこの時間を邪魔されたく無い。
少しだけでいいから、自分の事を見て欲しかった。
本当はそれだけの気持ちだった……。